平成24年(不)第24022号
敷金返還請求和解事件
開廷期日:2012年07月25日
平成24年(不)第24022号 敷金返還請求和解事件
和解判断:平成24年8月1日
第1.和解申立の概要
◎事件の概要
賃貸借契約の期中解約により、貸主が原状回復費用と称して敷金額を超過する請求を行ったことに対して賃借人がこれを不当として和解申し立てを行った事例
◎請求の趣旨
申立人が承認する原状回復工事費用を除き預託敷金を返還せよ。
◎請求の概要
本来、貸室の経年変化による損傷摩耗の原状回復(以下貸主負担部分という)は、長期に亘り収受した家賃収入により負担することが当然とし、よって、貸主において負担するとすることが確立した判例理論であり、これを受け、監督官庁においても当該理論構成により賃借人に不利とならないように取り扱うことが通達されている。
相手方が提示した原状回復に関する見積書(以下見積書という)を一覧すると、上記、貸主負担部分に関する費用を、申立人に帰責していることがうかがえ、到底承認することはできない。
又、本来、煙草による生活慣習の一環として生じる損傷は、当然貸主として想定し家賃設定しているものであり、従って、当該損傷に関しても申立人に補修の帰責事由はないが、相手方のいう、煙草によるクロス損傷に関する費用負担を承認し、煙草によりクロスが損傷している箇所についてその費用を相手方と按分して負担すると意見しているのであり、煙草による損傷の影響のない全室のクロス交換費用を負担する意思はない。
よって、上記及び申立人の過失による損傷個所の補修費用を除き、見積書に、「不承認」と記載した費用に関しては、負担する意思はないので、再度、判例理論、行政通達に基づく適正、適法な費用負担明細を確定の上、申立人が相手方に預託し、返還請求権が既に適法に発生している「敷金合計(342,000円)」の返還を請求する。
第2.結果
自判取下
第3.和解裁定
◎和解裁定(又は自判取下)
なし
◎和解裁定(又は自判取下)の理由
JACMOを民間紛争解決機関として指定し、ADR手続の申し立てを行う予告通知により、相手方と誠意ある話し合いの機会が生じ、真摯に協議した結果、申立人の主張を相手方が認諾し、敷金が返還された。