JACMO 一般社団法人日本民事紛争等和解仲介機構

JACMOの和解判断事例 平成26年(権調ロ)第26901号

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過去の和解判断事例集

過去の和解事例判断集

平成26年(権調ロ)第26901号

接道義務関係適合のための隣接地権者との用益権調整事件

開廷期日:2015年08月04日

和解裁定会議 平成27年7月30日
平成26年(権調ロ)第26901号 不動産権利関係調整和解事件
和解会議終結の日 平成27年7月30日


和解裁定


第1.和解申立の概要

◎事件の概要

申立人は、申立人の先代が、その土地を分筆して数人に売却したことにより、数人の土地に囲繞されることになり、建物を建てるために必要な前面道路(建築基準法第42条2項指定、以下公道という)に接道できず、売却できない土地(以下本件土地という)を相続したことにより、10数年にわたり、処分できず、しかし、固定資産税等の負担を余儀なくされていた。申立人は、処分及び運用のできない本件土地の取り扱いにつき、当会へ相談を申込、当会にて、隣接所有者への通路承諾の合意取得、或いは、公道に接道するための隣接地の買収により、適合地となることを教授したところ、当会の教授事案に基づき、本件土地を信託したいとの申し出があったので、当会にてこれを受託し、当会の教授した方法により隣接地権者との全ての交渉を成立させ、建築適合地として売却を可能とした事例

◎請求の趣旨

 本件土地の隣接地権者との適合地とするための全ての交渉を委託する。


◎請求の概要

 隣接所有者への通路承諾の合意取得、或いは、公道に接道するための隣接地の買収交渉を委託するので、貴会の教授した方法により隣接地権者との全ての交渉を成立させ、建築適合地として売却できるよう対象となる交渉を委任する。


第2.結果

「交渉合意」


第3.和解裁定(交渉の経緯)

(1)第1囲繞地の通行承諾の取得交渉関係

 本件土地へ、車両等が通行できるための範囲において、本件土地を囲繞する第1地権者(以下第1囲繞地という)と、測量士、相手方弁護士立会のもと、袋地所有者の囲繞地通行権を根拠に、公道に至るための通路形成、及び永年通行利用承諾を合意し、合意書を締結することで、通行権を確保し、本件土地への導入間口の一部を形成することができた。

(2)第2囲繞地の買収交渉関係

 本件地を囲繞する形で通路を形成する土地を所有する第2地権者(以下第2囲繞地という)に対して、当該土地の買収交渉を行い、相当単価にて売却をすることを約定させ、売買契約により第2囲繞地の所有権を取得し、本件土地と第2囲繞地と合筆することで、本件土地が直接2mの公道への接道要件を満たし、適合土地とすることができた。

これにより、第1囲繞地の通路範囲、第2囲繞地の通路範囲を合算し、本件土地へ進入するための通路間口2mを確保できた。


(3)隣接地権者との導入通路の間口拡幅のための土地用益調整交渉


 (1)、(2)の交渉成立により、進入間口要件、接道要件を満たすことができたが、さらに、本件土地への進入のための通路間口を、車両が容易に進入できるよう、「3m」とするため、本件土地、及び第2囲繞地に隣接する第3所有者に対して、本件土地の一部売却、及び第2囲繞地の無償通行承諾等の諸条件を提示することで、第3所有者の公道と敷地の境界線より、3mに満までセットバック(分筆不要)することを提案し、交渉の結果、これに応諾したので、本件土地へ進入するための通路間口を3mとすることができ、売却のための土地商品要件が整備された。


以上の交渉経緯を踏まえ、本件土地を有効地とする全ての交渉を終了し、申立人へ本件土地を引き渡し、引き続き、買主の探索に着手することとなった。


(図面)隣地用益関係調整による本地形図(概要)

00.山口大内御堀隣接地権者用益関係調整完了敷地図概要.pdf


(現況整地写真)平成27年11月10日完備

草刈後1.JPG

草刈後2.JPG

草刈後3.JPG

草刈後4.JPG

坪島様カーポート撤去後.JPG

平成27年7月30日

 
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